希望に満ち、バラ色に見えた、新社会人としてのスタートと違って、中途採用者のスタートは、不透明な隷のなかを手探りで歩くような不安をともなっているものだ。新入社員の頃は、仕事ができなくても、また、少しぐらいのミスを犯しても「まあ、新入社員だから仕方がない」と、周囲も温かい目をもって見てくれた。ところが、中途採用者の場合には、そんな甘い幻想は通らない。派閥や序列に画割りされた出世の戦場に割って入る不意の閑入者を、あたたかく迎え入れてくれる人間が少ないことを覚悟しなければならない。表面上は別にして、自分の利害に戦々恐々として、無視したり、足を引っぱったりする人は絶えない。よそもの意識をむき出しに、白い目で様子をさぐり、仕事にミスでもあろうものなら、拍手もしかねない人は多いのだ。「経験者といいながら、なんだこのミスは」と上司さえ手きびしい。期待はずれの人材へは、企業の態度もきわめて冷酷になるのは自然なことだ。もともと企業という戦場で、甘えの気持ちをいだくこと自体、まちかってはいるか、予想以上に、中途採用者の背負うハンディは重い。これが転職の現実で、年齢が高くなればなるほど、その重さに苦しむことになるのは目に見えている。ともすれば、人間はそのハンディに押しつぶされがちになるものだが、ここで現実に背を向けてはおしまいだ。
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