木でも、商品の単価を下げるために、Aさんは使う。手の届く価格で、国産材の建具を創るには、贅沢は言えない。使う材のほとんどが、こうした安く手に入れた木だといっても過言ではないだろう。価格面で工夫しているのは、材料だけではない。窓や戸にも、コストを下げながらデザイン性や質を大切にしようという、Aさんならではの工夫が見られる。たとえば、Aさん考案の「框(かまち)フラッシュ戸」。これは、値の張る框戸と安価なフラッシュ戸を合体させたもの。
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框戸というのは、周囲に木枠をまわしてつくる戸で、材も良く、加工にも手間がかかる高価な建具だ。一方、フラッシュ戸は、枠などつくらずにポリ合板や突板張りでつくる、中が空洞の戸で、見た目は安っぽいが軽くてローコスト。この2つの戸の特性を組み合わせてAさんが考案したのが、「框フラッシュ戸」だ。引き手やドアノブの付いている戸の約6センチほどの縦の部分には框戸の木枠のようにムクの木を使い、そのほかはフラッシュ戸にしてコストダウンをはかったものだ。ただし、フラッシュ戸の部分はチープに見えないよう、ふすま用の鳥の子紙が貼られている。ムク材と和紙の組み合わせで、ローコストながら、見た目は質とデザイン性に優れた戸ができあがるというわけだ。